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3ギター改造(ジャズマスター編)

2024-04-21  Blog  レシオP

レシオPです。
前回前々回に引き続き作業メモとして今回はギター改造(ジャズマスター編)を書いておきたいと思います。今回3つの記事を書いたので下にリンクを置いておきます。興味がある方はどうぞ。

この記事の関連リンク
1エフェクター(デスク周辺編)
2エフェクター(小型ボード編)
3ギター改造(ジャズマスター編)

このギターはジャズマスターというタイプのギターです。今回はこれをイジったんですけどその前にコレにまつわる昔話を少々書いておこうかなと...。まあ昔話というか、僕がなぜジャズマスターに出会ったかという話です。

中学生の頃にギターと出会いずっと弾いてきたけど、身に付いた技術と知識は大人になるまで独学でした。ところがある日、しっかりとセオリーを身に付けたいと音楽学校へ通う決断をするのですが、その学校で出会ったギタリストがジャズマスターの名手だったというわけですな。

レッスンのはじめの頃は普通にレスポールとか持って行ってたんですけど、学校用にギターを1本買っておこうかな~とお茶の水をウロウロしてたんですよね。その時たまたま見掛けた「Classic Player」というシリーズのジャズマスターがあったので「ジャズマスター使いの先生に習ってるからジャズマスターにしとくか!」って感じで買いました。ちなみにその先生はギタリストの真壁陽平さんです。今やギタリスト日本屈指のジャズマスター使いなんじゃないでしょうか。本当に遠くへ行かれてしまいましたね。...と言いつつ、その辺にいる普通の人な雰囲気は相変わらずなんでしょうね(笑)飾らない人柄も尊敬しています。

このジャズマスターはフェンダーメキシコ製なので比較的リーズナブルに手に入るギターです。とはいえ、木材などUSAと共通のものを使用しているし、引き心地やサウンドもちゃんとフェンダーな音を出すギターです。今回改造をしてみた事で本当に化けるんだなーと実感しました。


内部配線をキレイにしたいと思った

数年経って奥から引っ張り出してみたんですけどスイッチなどに若干ガリやサビが酷かった。メンテナンスしないとなーって楽器屋のことを想像した時に「これ自分で直せないもんかな...」と思ったんですよね。ギターを何年も弾いてきたのに急に思った。なぜか無性に自分で触りたくなって、おもむろにピックガードを外してギターの中身を見てみたんです。すると...

なんか配線汚いな!...って思った。
ギターの中身を見るのは初めてじゃないんですけど、なんか汚く見えた。エフェクターボードなど組む時に結束バンドでキレイに止めたいタイプなので、それも相まってグシャっとしている配線が許せなかったのかも知れません。この瞬間からふつふつと自らリペアをしたいという欲が湧いてくるのでした。


部品を調べて色々買ってみる

ギターの内部にあるパーツ類を調べるとボリュームポット、トーンポット、トグルスイッチ、コンデンサー(キャパシタ)、ピックアップなど、知っていたようで知らない言葉を色々と覚えなきゃいけなくなりました。また、配線の仕組みでホットとアースも出てきます。これが案外好きなジャンル(?)なので調べていく内に「こんなシンプルな仕組みでギターって音鳴ってんの?」みたいな気持ちになりました。 もちろん音質やノイズを追求していくと難しい面もたくさんあるんですけど、音を出すだけの仕組みを理解するなら難しい事じゃなかったですね。むしろ面白くて楽しい。

そんなわけでパーツを色々と取り揃えていくと同時に、結線で必要になるはんだこてワイヤーストリッパーなども調達した。


完成品を保管しておきたい

ついでにピックガードも変えてみる。これは後々ギターの見栄えを変更したいのと、配線材やパーツを変更した具合を後々確かめたいんですよね。そんなわけでピックガードを何枚か用意して「カスタム1」「カスタム2」という感じで保管しています。

こういった方法は専門店でも「アッセンブリー」って名称でオリジナルカスタムの塊を販売してたりします。ヴィンテージパーツで揃えたやつをセットで!...みたいなね。あとFender Flagship Tokyoではオリジナルのギターがオーダー出来るんですけど、その特別な部屋にはアッセンブリーをギターに抜き差し出来るカスタムギターがあるようです。凄いよね。Switchにカードリッジを抜き差ししてゲームを変えるみたいな事がギターで出来るみたいです。(コチラの記事で画像が見られます

ビンテージコンデンサー専門店パルスコミューン
Vintage Bumble Bee 最強ジャズマスター用アッセンブリ (受注生産)

見た目が変わると気分も変わる

そして集めたパーツを組み合わせてとりあえず外の見た目を変えてみた。
おー!これはいいぞ。別のギターになったようだ。例えるなら見慣れたあの娘の違う一面...みたいな。そんな驚きがあったよ。

ちなみに、黒と白の参考にしたのは「INORAN JAZZMASTER® #1 LTD」です。ゴールドのピックガードはどれを買うか少し迷いたかったので、とりあえず白でコーデしました。

更に余談となりますが、このINORANモデルは米津玄師さんがピースサインというMVで使用しています。そのMVでギターを弾いてるのが僕の先生(真壁さん)ですね。アーティストがアーティストモデルのギターを使うってなんか良いですね。


授業料だと思う事にしている

冒頭でも触れてますが今回改造しているギターはメキシコ製です。なので様々な部品の規格が「インチ」になります。Fender JapanやSquierになると規格が「ミリ」になるみたいですね。まあ多少サイズが違うくらいなら穴を広げるとかして取り付けちゃうんですけど。

早速ピックガードにポットやトグルスイッチなど取り付けてみる。ピックアップはまだ固定出来ないので仮置きですね。なかなかサマになってていいね!

そう言えば、パーツを買う時に失敗したくないから分からない事は調べまくってさ、それでも「コレ違うわ」みたいな買い物をしちゃう時があります。でもそれでいいのだ。失敗して覚えていく。いちいち凹まないこと。楽しいこと好きなことは常に前のめりなくらいがいいのです。自分の間違いで発生してしまったお金は授業料だと思う事にしています。戒めと意識すればいつか成長出来ます。


手際の技術は反復練習

これを書いてる現在は何度も配線の交換をしているので慣れて来てはいるんですけど、この画像は初めて配線した時の画像ですね...うーん、ハンダが下手くそです(笑)ホットとアースのクロスワイヤーも繋ぎたいのから繋いでる感じ。長さに余裕がないし。...まあでも誰しも通る道ですからね。こういう技術は繰り返して向上させて行くしかないのだ。

配線は見よう見まね...ではなく、配線図なる物を参考に行っています。探すと色々出てきますが、後にピックアップでお世話になるマツナミヒロキさんの配線図を参考にしました。ジャズマスターのプリセット部分をカットしている配線図なので初心者にはちょうど良かったです!それと上手なハンダを学ぶために下記のような動画を垂れ流していました。こういうのずーっと見ていられます...。

その後は音出しチェックをしてトラブルも沢山ありました。音が出ない事もあったし、どうにも消えないノイズが乗っていたり。謎だったのが、ポットの端子と配線は合ってるはずなのにボリュームをフルテンにすると音量がゼロ、音量をゼロにするとフルテンという逆の挙動があったり...。これは再びギターを開けて配線を取ってまた付けたら直っちゃいました。なんだったんだ。

無事に音が出るようになると物凄く楽しくて、ポットの抵抗値を変更したりコンデンサーを交換する事で更に音が変化するからヤバイ。もう色々と試したい衝動の連続です。

ここからどんどん沼に浸かって行くのでした...。


ヴィンテージ材の魅力へ

無事に音も出せるようになって配線図を見ないで作業できるようになりました。そこから音の変化に楽しみを覚えてしまったので、ついにヴィンテージ素材という沼に足を踏み入れてしまいます。

すぐ試したかったのが配線材です。いくつか買ってみましたがホルヨークという1940~50年代のワイヤーが良かったです。ヴィンテージだから勝手に枯れた音のイメージだったけど一気に音が太くなって驚いた。

次にトーンポットにVitamin Qタイプのコンデンサー(.033 600v)を付けました。ポットの抵抗値を1MΩから500kに変えてるから高音のキラキラ具合が心配だったけど、レコーディングで扱い易い感じに仕上がりました。音なんで文章じゃ伝わりにくいけど満足ということです。

そしてエレキギターの大事なパーツピックアップです。これは上記で触れたマツナミヒロキさんの制作されているRetroTonePickups「JM-58 "Velvetone"」という製品です。フロントとリア共に同じ物にしました。これもめちゃくちゃ良くて、フロントで弾いたときの低音のスッキリさに驚きました。でも太くて輪郭しっかりだから気持ち良すぎ。ジャズマスターを追及されている方の作ったモノなので本当に良いピックアップだなーって思いました。最高!

最後に細かい拘りのパーツですね。もう少し大きい画像で。

マスタリーブリッジというメーカーのストリングガイド。ギターのヘッド部分にある1、2弦にテンションをかけるためのパーツです。これに替えるだけでチューニングの安定と音質は明瞭感を得られるという事で。確かにチューニングはめっちゃ安定した気がしますね。明瞭感は分からんかった!(笑)クソ小さいくせにクソ高いパーツなので、取り付けただけで身体の中の何かが満たされた感はあります。

もうひとつのパーツもマスタリーブリッジ製品ですが、これはアームの先っちょについてるパーツ。持つところ...みたいな。アーミングで握ると指と指の間に収まるフィット感は最高だと思います。ですが、いかんせん格好悪い気がする...。使い易いけどダサい気がする...。授業料だとしたら高過ぎる。

MASTERY BRIDGE MST String Tree
MASTERY BRIDGE MVAT-UFO

修理が出来るようになった

リペアに興味を持ってアグレッシブに動いたのは最初の1ヶ月程度ですが、そこから今までめちゃくちゃ色んな事を覚えたり経験しました。ギターは弾くだけじゃなく作っても直しても面白いぞ...とね。

ただパーツ交換とか材質だとかの部分って人それぞれ過ぎて分かりにくいですよね。ヴィンテージの高価なコンデンサーを取り付けて「全然違う!良い!!」って人もいれば、「よく分からん...」って人もいます。「どっちだっていいよ」って人もいる。そういう僕も違いが分からない事はよくありますもん。だから、パーツ交換は精神安定剤という事にしています。

よほどの事がなければパーツ交換で音が破綻するような事はないと思うんですよね。セッティングでどうにかなると思うし。それよりも「自分好みのパーツを付けたから今日は無敵!」とか思えてる方が良い結果に結びつきそうって思います。どんな形であれモチベーションを維持できる方法って自分で見つけないといけないね。


あとがきになりますが、今回3つのメモをブログに書いてみました。

再び作曲活動を始めたいと思いつつ月日が経ってしまっているけど、ミニアルバムくらいはもう一回出したいなーって思っていたりします。こういう気持ちになるのって消費者だけになりたくないんだと思った。色んな楽器や機材を買って日々幸せなんだけどね、得たもので何かを作る生産者で居たいんだと思う。

ボカロPってのをやっていると陰ながら応援してくださる方もいて、たまにメッセージを投げてくれる事があります。その一言にどれだけ救われているか。自分が曲を作ったらまた聴いてくれるんだろうか...。平凡な毎日に少しだけエネルギッシュな時間が生まれそうでワクワクします。

ここ数年の自分はどこか満たされちゃってた気がする。とても良い事で目指すべきライフスタイルなんですけども、小さな不平不満があったり、不自由だったりした方が生産的なエネルギーを発してた気がするんですよね。それを確かめるべくまた音楽で何かを作り上げたいなって思ってます。

がんばるぞー!

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